SUTTER MEDICAL CENTER 米国、カストロバレー
BIMベースのIPD 革新的なヘルスケアプロジェクト
ユニークな組織をまたがるIPDチームが、米国、カストロバレーに位置するSutter Medical Centerの3D建物情報モデルによって、Tekla BIMアワード2010のBIM部門を受賞しました。センターには、カリフォルニア州の比較対象のヘルスケアプロジェクトよりも30%期間を短縮したスケジュールが立てられていました。これには、BIMなどの、リーン生産方式の建設原則や技術を導入する必要がありました。
建物情報に関する信頼できるコミュニケーション
プロジェクト期間中、Integrated Project Delivery (IPD)チームは定期的にミーティングを持ち、モデリングされた建物情報の比較を行いました。例えば、詳細な設計調整段階では、調整プロセスには、フロアごとにすべてのテストモデルを個別に再検討することも含まれていました。
プロジェクトに関係するすべての部門は、最善の専門知識を活用したソリューションを使用しました。モデルを一緒に開発したことで、MEPエンジニアおよび詳細設計者が同期して同じモデルに対して作業を作業を行い、設計者と建設業者が同期して作業を行うことができました。モデルの建物情報は、信頼できるもので、チームが必要な分だけ自動的に正確なコピーを出力することができました。
DPR Construction社のプロジェクトエンジニアNathan Wood氏は、次のように語っています。「米国では、MEP調整は今回のような複雑なプロジェクトでは、ほとんど標準的な手法となりつつあります。また、MEP調整のワークフローは確立されつつあり、MEPの下請業者の間では、一般に好意的に受け止められています。このプロジェクトで特別だったのは、コア全体のモデリングと調整および建物の骨組み(コンクリート、鉄筋、鋼鉄、および外壁)に対して費やされた労力です。すべては、Teklaなしでは実現することはできませんでした。これらの新しいモデリング対象に対して調整を行う最善の方法を学習するのには難しさが伴いましたが、これらの問題をファブリケーションや着工前に識別することのメリットは、モデリングや調整にかかる追加費用よりもはるかに重要なものでした。
カリフォルニア州のHarris Salinas RebarのBIMマネージャーLayne Olson氏は、次のように語っています。「Tekla Structuresは、このプロセスにHarris Rebar (鉄筋)を加えることができるようにしたツールの1つです。Teklaを使用することで、設計、建設可能な問題および不調和を素早く的確に発見し、他の業者とコミュニケーションを行うことができるようになりました。異なる分野からの経験があり才能ある作業者が一緒に協働できるようにすることにより、信頼関係を確立し、革新的な方法を考え出し、個別のプロジェクトやすべてのプロジェクトに付加価値を追加できるようになり、顧客の期待や目標に重点的に取り組むことが可能になります。」
単一の3Dモデルにより劇的に現場のミスを低減する
F 鉄筋調整のため、MEPの壁スリーブがMEPモデリングソフトウェアからTeklaにインポートされ、外壁ファブリケーションモデルの作成のため、50-60 2D DWGファイルがインポートされました。Teklaの2Dプロファイルをカーテンウォール製造業者からインポートする機能は、3Dで詳細なムリオンクリップおよびドアフレームなどを作成するために使用されました。これらの2D図面から作成されたモデルは、Teklaを使用して、設計者のRevitモデルのIFCモデルと比較されました。CADuct、AutoCAD MEP、およびRevitソフトウェアが、このプロジェクトでTeklaとデータを相互作用したりやり取りしたりするために常に使用されました。構造鋼鉄構造鋼鉄の主契約に加えて、複数の業者との協調をサポートするため、総合建設請負業者であるDPR社はHerrick Corporation社に構造鋼鉄に接続される建物の外壁システムのすべての要素をモデリングすることを依頼しました。Herrick社の前建設管理者Wayne Morrison氏は、次のように語っています。
「これは、3Dモデルベースの環境のみで可能にすることができました。また、現場で必要な潜在的な修正数を低減することができます。」
カナダのバンクーバーに拠点を置く鋼鉄詳細設計企業であるCandraft社と協働した会社は、Teklaツールキットを開発して、Herrick社とその下請業者内の両方で使用できるようにしました。目標は、十分な情報が含まれた単一の標準化されたモデルを、プロジェクトチームのすべてのメンバーがアクセス可能な1つの形式で生成するこ
とでした。ツールキットには、標準レポート、図面テンプレート、RF I作成および管理用APIインターフェース、視覚化ツールなどが含まれています。以降、このツールキットは他のプロジェクトでも使用され、多くのプロジェクトにおいて、Herrick社のアプローチの重要な部分となってきました。
ツールキットの多くは、Tekla Open API™ツールを使用して開発されました。プロジェクトチームが電子承認に完全に依存できるようにするため、Herrick社およびCandraft社は、3Dモデルのみを承認するインターフェースを作成し、TMADのエンジニアの記録に使用しました。建設中に何回も、プロジェクトチームはTMADのRevit構造、CandraftのTeklaモデル、およびいくつかの下請業者からのモデルをインポートしました。図面は、承認後に、ファブリケーションモデルからのみ抽出します。「モデルのエラーを見つけ修正するほうが、図面を再作成するよりも簡単でコストを抑えられることに気付くようになりました」とWayne Morrison氏は語っています。
BIM技術により時間とコストを削減する
Nathan Wood氏は次のように語っています。「Tekla Structuresを使用してカスタマイズされた壁レイアウト図面を作成することで、DPR Concrete社は、壁および埋め込みレイアウト中に生産性を10%向上することができました。外壁については、密集した鉄筋部分の矛盾のため、プレキャストシステムに必要な壁貫通が25%以上移動または削除されました。これらの変更は、Teklaを使用して鉄筋のモデル調整をしていたため、スケジュールに後れを生じることなく行うことができました。」
Layne Olson氏は次のように語っています。「カストロバレーのSutter Medical Centerは、Harris Rebar社にとって、初めての完全なIPDおよびBIMプロジェクトでした。リーン生産方式の建設原則やTekla Structuresなどの強力なツールを使用してコラボレーション環境で作業を行うことで、プロジェクトをより高い品質でかつコストを抑えて成功させることができました。」カナダ、バンクーバーのCandraft Detailing Inc.社の社長兼CEO であるJohn Cooper氏は、次のように語っています。「Herrickと協働することで、当社はソフトウェアを最大限に活用し、電気モデル承認インターフェースの開発にリソースを投資し、インターフェースを使用してTMADをトレーニングすることができました。しかし、この投資には価値がありました。この投資によりすべての利害関係者にコスト削減において非常に大きな見返りをもたらし、正確性の面でも、分野間のモデル調整やスケジュールどおりの作業進行などの益をもたらしました。」
Curt Herrick社のプロジェクトマネージャーCurt Thon氏は、Herrick社がスケジュール前に作業を完了したこと、現場でのエラーがほとんどゼロであったことなどを挙げて、BIM関連のテクノロジーおよびプロセスへのHerrick社の行った投資がこのプロジェクトで 十分な成果を上げたことに対する確信を表明しています。これは、Herrick社が、このプロジェクトの構造鋼鉄部分を、予算よりも160万ドル安く完成することに寄与しました。彼は次のように語っています。「これは真のチームとしての努力の賜物です。進んで斬新な思考で取り組んでくださった、Sutter HealthおよびDPRの皆さんに深く感謝しています。」
将来のプロジェクトにつながる開発
N John Cooper氏は次のように語っています。「Candraftは、HerrickおよびDPRと共同で別の大規模な病院プロジェクトに携わっており、そこでもこの同じアプリケーションとプロセスからの益を享受することができています。当社のTekla担当責任者であるRay MacWilliamsが、モデル承認インターフェースやRF Iおよび変更命令の追跡やレポートシステムの改良および機能強化に取り組む社内Tekla開発チームを率いており、今後BIMプロセスはさらに改良されていくでしょう。」
DPR社のNathan Wood氏は次のように語っています。「Teklaモデルは、外壁調整に非常に役立ちました。これは、建設可能な問題、設計とのギャップ、および外壁業者とのやり取りの問題を識別する助けになりました。当社の外壁下請業者からのフィードバックは、非常に好意的なものでした。彼らは、3Dモデルに書き出したときの外壁図面の見え方に非常に驚いていました。Teklaのモデリングは、当社の外壁作業や鉄筋下請業者の将来のプロセスに大きな影響を与えていくことでしょう。」
Nathan Wood氏は続けてこう語っています。「次のAlta BatesのSutter病院プロジェクトでも、TeklaおよびBIMを引き続き使用しています。当社は、建設フローのより合理化された設計の作成するため、継続的に当社のモデルワークフローの導入に取り組んでいます。また、当社は、他の建設管理ツールおよび4Dスケジューリングに加えて、Tekla/Trimble統合も試みています。新しいTekla BIMのクラウドへの方向性を知り、RF Iなどの社内提出に使用可能なサーバーベースのモデルを作成することに興奮を覚えています。私は、プロジェクト所有者からの指示ではなく、鋼材供給業者や建設業者が開発しBIMを導入することによってBIMの未来が開けてくると信じています。より多くのBIMをこれらの下請業者に体験させることによってその価値を自分で実感できるようにすることにより、下請業者は新たに新しいツールを習得するための費用を支払うことなくそれを導入することができます。モデルから現場へのテクノロジーは、BIM導入の成功の重要な要素でもあります。」