集光型太陽熱発電所 ソーラーレシーバー
総重量約900トンの高さ36mのソーラーレシーバー(MSR)
ムハンマド・ビン・ラシード・アル・マクトゥーム・ソーラーパークは、ドバイ市から南に約50km離れたSeih Al-Dahalにある面積77km2のソーラーパークです。この発電所は、ドバイ電気・水道局(Dubai Electricity and Water Authority:DEWA)によって建設されています。
2030年までに5,000MWの生産能力を計画しており、総投資額は500億ディルハム(約1.5兆円)に上ります。完成すれば、年間650万トン以上の温室効果ガス排出量の削減が見込まれます。ムハンマド・ビン・ラシード・アル・マクトゥーム・ソーラーパークは、独立系発電事業者(IPP)モデルに基づく、世界最大級の再生可能エネルギープロジェクトです。この長期プロジェクトでは、3期に分けて建設される大規模太陽光発電所に加えて、第4期では集光型太陽熱発電所(CSP)が建設される計画です。
第4期
この第4期は、集光型太陽熱発電所(CSP)と太陽光発電技術を組み合わせた単一施設での太陽光発電独立発電プロジェクトとしては世界最大規模のプロジェクトとなります。当期では、3つの技術を用いて950メガワット(MW)のクリーンエネルギーを生産します。パラボリックベースンコンプレックスの600MW、ソーラータワーの 100MWを合わせた700MWを集光型太陽熱発電所(CSP)から生産、さらに太陽光発電パネルから250MWの生産が可能となります。また、70,000個のヘリオスタットを使用し、世界最大となる15時間相当の蓄熱装置があるので24時間体制でエネルギーを供給することができます。
集光型太陽熱発電業界(CSP)における8個の世界記録 *Noor Energy 1社調べ
プロジェクト概要
SteelPro 4 s.r.o.社は、総重量約900トンとなる高さ36mのソーラーレシーバー(MSR)の鋼構造の3Dモデルによる基本設計、一般配置図の作成、すべての接続部のモデルリングを請け負いました。主鋼構造は16本の柱で構成され、それを3つのメインプラットフォームが支えています。主鋼構造は、プラットフォームや各種通路、装置の支持部などの二次構造も含めて完成となります。
装置や配管ルートが大量に配置されている構造物の形状から、ソーラーレシーバーの主設計者や構造エンジニア会社(Allcons Industry s.r.o.社)とのコミュニケーションが必要となりました。また、技術的なスペース要件や構造物との干渉を解消する最適なソリューションが求められました。
このプロジェクトが成功している大きな理由として、異なる職種のメンバーと3Dモデルを共有することで、作業の進捗確認だけでなく、関係者が密接に連携できたことが挙げられます。また、納期に合わせて構造体を生産ユニットごとに分割し、鉄鋼商社と鉄骨製作業者に3Dモデルが提供されました。それにより、製作工場と現場との両方での図面作成が可能となりました。
また、複雑な構造体であるがために、 後日提供される一般図に先立って、3Dモデルがメンバー間のコミュニケーション手段として用いられていたという点は、このプロジェクトのもうひとつの特徴です。